セミオーダー靴の新たな定番、Uチップ

セミオーダーの革靴に新たなデザインが加わります。

手縫いのステッチを大きく走らせた、Uチップです。
ベースとなる木型は他のデザインと同様ですが、型紙は新しいものを起こしています。

全体のバランスを熟考して、神戸の職人が形にしてくれたこのUチップ。
「良い靴です」と、自信を持ってご紹介できるものに仕上がりました。

Uチップの基本情報

まずは、このUチップの基本情報です。

・サイズ

メンズ木型 230~290の全13サイズ
Uチップのサンプルシューズは255サイズのみとなるため、従来のゲージ靴(プレーントウ)を履いていただきながら、調整方法などをご案内いたします。

・価格

マッケイ製法:¥96,250〜
グッドイヤーウェルト製法:¥111,650〜
ハンドソーンウェルト製法:¥124,850〜

・受注開始日

2024年4月20日(土)~
北参道にて開催されるイベント『会話とオーダーメイド』にてお披露目します。
オーダーをいただいてから完成までは約4ヶ月です。

Uチップってどんな靴

Uチップのルーツは野山を歩いたり、働く人の足元を支えるための靴だと言われています。
そのため、革靴のデザインのなかではカジュアルな靴に分類される…というのがセオリーです。

とはいえ、このUチップをカジュアル要素が強い革靴とだけ括るのは、ちょっともったいないなと思っています。
この靴、なかなかスマートな印象もある靴なのです。

これはUの字のステッチによって、プレーントウよりも縦方向のラインが強調される影響が大きいです。

ですので、今までのラインナップの靴に比べて、スマートに見えます。
このスマートさをどう生かしたオーダーにするか?
Uチップをご注文いただく際には、お客様と一緒にこんなことも考えていきたいです。

どんな革を選ぶ?

お選びいただける革には大きく分けて2つの種類があります。

1つは表面がツルッとしている綺麗なタイプの革です。
主にクロム鞣しという加工方法が用いられた革で、国内外の多くの革靴に使われています。

この革は、delightful toolのUチップのスマートさを強めたいときの選択としてオススメです。
たとえば黒い綺麗な革×ボリュームを抑えたレザーソールの組み合わせならば、滑らかな生地の服に良く馴染む一足になります。

もう1つは、表面に少し粗さがあり、素朴な表情の革です。
このタイプの革は、タンニン鞣しという加工方法を用いられたものが中心です。
靴のスマートさを少し中和させ、力の抜けたカジュアルな印象をプラスするには、この革はとても良い選択になってくれます。
素朴な風合いの茶色い革で作った一足は、チノクロスやデニム、ざっくりしたウール生地にこれ以上ないくらいハマるはずです。

とはいえ、これは僕のなかで基本としている革選びの考え方でしかありません。
ここから外してみる。すると、意外な、でも使いやすい一足になることだってあると思うのです。
あなたにとってしっくりくる一足になるよう、素材選びを楽しんでいただけたら嬉しいです。

Uチップの履き心地は?

delightful toolの革靴は一種類の木型で作られていますので、ベースとなる履き心地は共通です。
カカトから土踏まず周りで足をしっかりホールドし、指周りには解放感があります。
そこにデザイン(=型紙)によるフィッティングの違いが加わります。

このUチップは、全体の型紙のバランスが従来の短靴から変更されています。
一番大きな違いは、羽根と呼ばれる靴ひもを通す穴が空いたパーツです。

U字のステッチが入ったときの全体の印象を整えるため、プレーントウと比べて羽根の位置を少し前方にずらしています。
また、羽根の大きさも広めにもたせています。(靴紐を締めたときに羽根が閉じやすい)

これによって甲周りのフィッティングは、今までのラインナップに比べてゆったりしたものに。
また、足を入れる履き口周りのラインを下げているため、くるぶしの下があたりにくくなっています。

プレーントウ、キャップトウで「甲周りがキツい」「くるぶしの下があたる」と感じた方には、このUチップはフィッティングの面で良いデザインです。
もちろん各種調整はできますので、足の状態、お好みに合わせて、快適な履き心地をご提案いたします。

デザインを増やすこと

Uチップは、自分自身がずっと欲しい、履きたいと思ってきたデザインでした。

木型は今までと同じもの、靴としての基本構造もおおよそ同じなら、新デザインもすんなり進む…?
と思いきや、デザインを増やすのは、そう簡単にはいかないところがあります。

Uチップの一番の特徴は、このU字のステッチが走る部分。モカと呼ばれる意匠です。

このモカの構造は、実は結構な種類があります。

2枚の革を縫い合わせるタイプの「乗せモカ」「落としモカ」「拝みモカ」
1枚の革をつまんで縫う「つまみモカ」…
これでもモカの全てではありません。

Uチップを作るには、まずモカの種類を決めなければいけません。
この木型らしいモカはどれなのか?耐久面として良いモカはどれなのか?
職人と話し合いを重ねて、採用するのは「つまみモカ」に決めました。

そこからは、型紙の作成と修整です。
職人が試行錯誤を重ねて、木型に自然に乗るUチップのライン、それが馴染む全体のバランスを作り上げてくれました。
構想から完成まで時間はかかりましたが、だからこそ、定番として自信を持ってお勧めできるデザインに仕上がったのだと思います。

イベントでのお披露目の後は、二子玉川の店舗にサンプルを並べます。
delightful toolの新たな定番デザインのUチップ。
ぜひ、実物を手にとって、じっくりとご覧ください。

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