中底について

ブログの冒頭では天気の話をしていることが多いです。過去の記事を見直してみて自覚しました。

「急に寒くなりましたね」「今日は気持ち良い青空ですね」と日常で交わす言葉と同じ感覚で書いているのと同時に、私がその日の天気を結構気にしている証拠なのだと思います。どうも私は天気のことが気になりやすいようです。人それぞれの「天気を気にしている指数」みたいなものがあれば面白いかも、なんてくだらないことを考えてしまいました。

過去の記事を見直してそんな天気のことに気がついたのは、もちろん副産物です。オーダーシューズについて、どこまでお話できていたのかを確認することが記事を見直した目的。

お選びいただける革、底材、製法といったお話はできてきましたので、ここからはもう少し靴の内部や細かなことのお話をしていきたいと思います。

 

今回は革靴の生命線のひとつ、中底についてのお話です。

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中底とは靴を履いた時に足の裏が触れるパーツ。靴によっては革以外の中底もありますが、革靴であればタンニン鞣しの良質な革を中底に使うことが望ましいと思います。

タンニン鞣しの革を中底に使うことで、吸汗性、履き心地が優れた革靴になります。革の中底はスポンジのような柔らかさはありませんし、最初は硬く感じられるかもしれません。しかし使い込んでいくうちに革の中底は足の裏の形状に変化し、履く人のための専用インソールとなります。「履き込んだ革靴は手放せない」「履いていくうちに革靴は馴染んでくる」と言われるのはそのためです。(実際には中底の下にあるコルクなどの部材も変化し、足馴染みに影響します)

とはいえ革の中底は靴の製法によって厚みが変わりまして、そのメリットを最大限に享受できるのは厚みがある中底です。

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こちらはdelightful toolの9分仕立て(ハンドソーンウェルテッド製法)で使われる、厚さが5ミリの中底です。

 

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こちらはマッケイ製法で使われる、厚さが3ミリの中底。9分仕立ての中底に比べて薄くはなりますが、それでも中底が良質な革であることのメリットは感じられます。

革靴というと本体に使われる革(甲革)に注目が集まりがちです。甲革に品質が劣る革を使うのは論外ですが、見えないところだからと中底に適当な素材を使ってコストを下げるのは問題有りです。甲革に良い革を使うのであれば、中底もそれに見合ったきちんとした革を使うべきです。大切なのは全体のバランスで、良い甲革には良い中底の組み合わせが必要です。そうしなければ長く持つ革靴には仕上がりませんので。

delightful toolの靴に使われている中底は、職人さんも私も「これなら間違い無い」と自信を持って選んだ革です。本体に使われる革と同様に中底も店頭で保管しておりますので、是非お手に取ってご覧ください。

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