久しぶりにニットカーディガンに袖を通しました。柔らかい色、優しい雰囲気のニットを着ていると「紳士的に優しい振る舞いをせねば」と意識してしまいます。この手のニットを着た人で悪い人はいないでしょうから。
今回は靴の裏革についてのお話です。
例外もありますが、革靴は表革と裏革の間に芯材(つま先と踵)が入った状態で成形されています。今までご紹介したNEW YORKやOLD ENGLANDといった革は表革として使う素材です。
ブーツ以外の靴では、裏革はこのように構成されています。(2枚とも型紙の画像です)
こちらが先裏という靴の前方部分。足の甲部から指が触れる部分です。
こちらが腰裏という靴の後方部分。主に踵周りに触れる部分です。
裏革は吸汗性、耐摩耗性があり、できるだけ靴下に色移りしない素材がベストです。
delightful toolでは先裏には豚革を。
腰裏には牛革を使っています。
豚革は吸汗性、耐摩耗性、コストパフォーマンスに優れた素材で、靴の裏革に非常に適しています。しかし革としての綺麗さでは多少劣る部分があるため、腰裏には牛革を使っています。靴としての機能性と仕上がりのバランスを考慮して、このような組み合わせを採用しました。
裏革として使っている豚革、牛革は「著名なヨーロッパタンナーの…」といった類のものではありませんが、実際に履いてみて吸汗性や耐久性を確認した上で選んでいます。コストをかけすぎることなく、できるだけ快適に長く愛用できる仕様を心がけました。
数日前、靴の製造工程を解説した本を置いてみました。靴として形になってしまうと見えにくい部分などは、この本や実際の型紙などを見ながら店頭でもお話できればと思っております。実は見えにくい部分にこそ、靴として大切な要素や作り手の考えが詰まっていますので。