靴の印象を決める底周りの話

先日までオーダーシューズでお選びいただける革をご紹介してきました。同じ黒の革でも、NEW YORK、BELUGA、OLD ENGLANDのどれをお選びいただくかで仕上がる靴の印象はだいぶ変わります。オーダーをご検討される際には、お好みのスタイルやパンツの太さ、靴をお履きになるシチュエーションなど色々とお話をさせてください。お客様とイメージの共有がしっかりできていると、良い靴が出来上がりますので。

今回は靴の印象を決める、革以外の要素についてお話したいと思います。まずはこちらの画像。

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向かって右と左でだいぶ印象が違います。向かって左がスエード、右がオイルドレザーという質感が異なる革。靴のデザインも異なるのですが、注目するポイントを「靴のボリューム感」に絞ってみてください。この画像の靴は、向かって右も左もサイズは26。同じサイズです。(本来は同じ革で比較すべきところなのですが…)しかし実際は向かって右の方がボリューム感があり、ゴツい印象を受けるのではないでしょうか。

実はこのボリューム感の違いを(革以外の要素で)生み出しているのは「底周りの仕様」です。注目していただきたいのは、コバの張り出し具合。(底材のはみ出し具合と思ってください。コバというのは底材の側面部分を指します。)

 

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向かって右、オイルドレザー靴の拡大画像。

 

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向かって左、スエード靴の拡大画像。

オイルドレザーの方が張り出しが強いですね。ここの張り出しが強い靴は、他の条件(木型、革、サイズなど)が同じであっても見た目のボリューム感が出ます。またオイルドレザーの靴は、底周りをグルッと一周しているウェルトというパーツの形状が違います。

 

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オイルドレザーの靴は、ウェルトの形状がL字になっています。ストームウェルトと呼ばれるものです。

 

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スエード靴のウェルトは平らな形状。平ウェルトと呼ばれています。

一般的にはストームウェルトの方がボリュームが出ます。ストームウェルトは本来、水の染み込みを抑えるための機能的なパーツです。一方スエード靴に使われている平ウェルトは、コバの張り出し具合を加減することでスッキリも見せられますし、ボリュームを出すこともできます。このスエード靴は張り出しをそれほど強くしないように作ってもらっているので、画像のようなバランスに仕上がっています。

靴の底周りに関しては「どんな底材(ソール)を選ぶのか?」が見た目の印象を大きく変えるのは間違いありません。しかし今回ご紹介した「コバの張り出し」は実はなかなか影響が強く、靴の見た目を大きく左右します。靴屋さんに並んでいる靴や、電車内で座っている人の靴を良く観察してみてください。ボリュームがある靴はコバの張り出しが強いはずですし、スッキリ見える靴はコバの張り出しを抑えているはずです。

今回は見た目の印象を中心に底周りの仕様、コバの張り出しについてお話してきました。本来底周りの仕様は機能性があって、その結果として見た目の話になるのだと思います。見た目の話からだと順番が逆かなと思いもしましたが、革靴に関心を持ち始めた頃の私にとって「コバの張り出しで靴の印象ってこんなに変わるんだ!」という気づきは大きなものでした。そこでまずは見た目の話をさせていただきました。もちろん後日、底周りの機能性についてもお話します。

色々な革靴を見た時に「ああ、コバの張り出しってこういうことか」と感じていただければ嬉しいです。

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